嗅覚の消失または味覚の消失は、Covid-19の特徴的な症状であり、SARS -Cov-2感染の急性期に報告される指標の一つです。しかし、根本的なメカニズムについては解明されていませんでした。

本調査では、オンライン調査を利用して、69,841人の個人からCovid-19に関するデータを収集しました。このデータからゲノムワイド関連解析を実施し、味覚障害・嗅覚障害についてUGT2A1およびUGT2A2遺伝子の近くに重要な遺伝子座を特定することができました。両遺伝子は、鼻腔内壁を覆う細胞で発現し、嗅覚受容体に結合する匂い物質の除去に関与する酵素をコードしているとされています。
2つの遺伝子(UGT2A1とUGT2A2)の近くに位置する一連のバリアントによって、SARS-CoV-2に感染者が嗅覚消失や味覚消失を経験する確率が11%増加することが判明しました。

本研究では、大規模な調査であったが対象が特定の人種に偏っていることに注意すべきであり、
また、調査が自己申告での症状・症例の報告であったため、臨床的確認を実施することでより有益な結果が得られる可能性を示唆しています。さらに、味覚・嗅覚障害を一括りで調査質問を行っているため、調査結果がこの2つのどちらの症状に強く関連しているかが不明であるとしています。
いずれにせよ、この発見は、COVID-19関連の嗅覚消失や味覚消失の根底にある生物学的機構に関する手掛かりとなると考えられます。


本内容に関する記事は、オンライン科学雑誌「nature genetics」(2022年1月17日付け)に掲載されています。論文名「 The UGT2A1/UGT2A2 locus is associated with COVID-19-related loss of smell or taste 」