水分摂取に努めることが健康や美容に良いという話は、しばしば耳にする。水は生物の生命維持に欠かせないもので、その欠乏が健康にとってよろしくないことは安易に想像がつくが、これまで水の摂取量と健康との関連を具体的に明らかにした研究論文はほとんどなかった。

この度、米国の疾病対策予防センター(CDC)や国立衛生統計センターが調査・公表した統計データを元に統計解析を行い、水分摂取量と死亡率の関係を明らかにした研究論文が発表された。

3万5千人余のアメリカ人成人を対象に7年余に渡る追跡調査で得られたデータを元に統計解析を行ったこの研究よると、35,463人の内4915人が死亡し、その内訳は癌で1073人、心臓病で861人などであった。そして、やはり水分摂取量が多いと死亡率が低くなるという容量反応関係が示された。死亡原因を癌に限ると、水分摂取量と癌による死亡との間に相関関係は認められなかったが、水分摂取の経路を、単純水・ビバレッジ・食物中の水分の3経路に分けた解析では、男性のビバレッジ摂取量と癌による死亡の間にU字型の容量反応関係があること、つまり、ビバレッジ摂取が一定量まではがんの死亡率を下げるが、それ以上の摂取は死亡率を上げるという関係が示された。この“ビバレッジ”とは、牛乳、コーヒー、お茶、フルーツジュース、炭酸飲料、酒などらしく、癌の死亡率を高めている主役はおそらくはアルコールではないかと想像される。また、コーヒーとお茶の消費量が多いほど、すべての原因および癌による死亡リスクが低いことも示された。

さらに詳しい研究の積み重ねが待ち望まれるが、さしあたっては、やはりコーヒーやお茶などで水分をまめに摂り、アルコールを控えめにした方が賢明そうである。


Association Between Water Intake and Mortality Risk-Evidence From a National Prospective Study
Hao-Long Zhou et.al
Frontiers in Nutrition, 12 April 2022. 822119