AIシステムが乳がん検査の精度を上げる?

乳がんは乳房にできる悪性の腫瘍です。日本では、乳がんの罹患数、死亡数ともに年々増加傾向にあり、生涯に乳がんを患う日本人女性は、11人に1人と身近な病気になっています。乳がんは早期発見出来れば、生存率がとても高いがんのため、乳がん検査で早期発見することが重要です。

しかしながら、乳がん検査の一つとして行われるマンモグラフィー検査だけでは、乳がんが乳腺の密度によって隠れて見える場合もあるため、誤った診断をしてしまうケースがあります。

米国の研究グループは、乳がん検査の精度をあげるため、米国と英国で診断に用いられた合計28,953のマンモグラフィー検査の画像を取り込み、学習させたAIシステムを開発しました。開発したAIの性能を図るべく、米国と英国の膨大な診断結果と比較検証を行った結果、AIで診断した方が、偽陽性(乳がんではないが乳がんと診断)の割合が米国5.7%、英国1.2%、偽陰性(乳がんだが乳がんではないと診断)の割合が米国9.4%、英国2.7%減少することが分かりました。また、AIシステムを二重読影過程(英国では乳房X線像の診断を2人の放射線科医がそれぞれ行う)で使用すると、二人目の放射線科医の仕事量が88%減ることも明らかになりました。

今回の研究結果は、AIが乳がんの早期発見を支援する可能性があることを示唆しています。しかし、実際の診断はより複雑であり、現在診断に用いられている全ての技術をAIに反映できていないため、医療行為におけるAIの有用性を評価するには更なる臨床試験が必要であると筆者らは述べています。

この記事に関する論文は、オンライン科学雑誌「Nature誌」(2019年8月付け)に掲載されています。

References:
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1799-6