中国に出現した新型コロナウイルスの正体

2019年12月に中国湖北省武漢の海鮮市場を発生源とする新型コロナウイルスは、世界中で猛威を振るっており、感染者数は2020年3月1日時点(WHO situation report参照)で、中国国内で79,968人、その他の国で7,169人となっています。新型コロナウイルスは発熱、頭痛、呼吸困難等が主な症状ですが、高齢者や持病のある方で重症化することが知られており、亡くなった方は中国国内で2,873人、その他の国で104人に至ります。

今回、上海公衆衛生臨床センターの研究チームは、新型コロナウイルスの遺伝子配列を解析すべく7人の重症肺炎の患者から採取した検体の分析を行いました。解析の結果、検出されたウイルス検体の遺伝子配列は、患者間でほとんど同じ(配列全体の99.9%以上が同じ)で、遺伝子配列の79.5%が2002年11月から2003年7月に中国で発生したSARSコロナウイルスの塩基配列と一致しました。このウイルス検体の塩基配列は、コウモリコロナウイルスと全ゲノムレベルで96%遺伝子配列が一致しており、新型コロナウイルスの発生源がコウモリである可能性が非常に高いことも判明しました。

さらに、今回の研究で感染した患者から単離された抗体や以前のSARSコロナウイルスで同定されている抗SARS抗体は新型コロナウイルスを中和する可能性があることも明らかになりました。しかし、これらの抗体が治療で実用化できるかは今後更なる検証が必要と研究グループは述べています。また、研究グループは新型コロナウイルスは気道が主な感染経路である可能性が高いことを様々な検体を検査した結果から推測しています。

この記事に関する論文は、オンライン科学雑誌「Nature誌」(2020年2月付け)に掲載されています。

References:
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2012-7