BCGワクチンが、新型コロナウイルス感染に与える影響について

新型コロナウイルスによる死者数は、5/28現在で354,983名に及びます。特にアメリカ、スペイン、イタリアでの人口10万人当たりの死者数が30人以上と飛びぬけて高くなっており、日本(人口10万人当たりの死者数0.2人)や韓国(人口10万人当たりの死者数0.3人)と大きく差があります。その原因の一端としてと注目を集めているのが、小児期のBCGワクチンの接種です。事実、BCGワクチン接種が義務化されている国では死亡率が低く、義務化されていない国では死亡率が高いという統計的なデータも出ております。

イスラエルの研究グループは小児期のBCGワクチン接種経験の有無が、新型コロナの感染率や致死率に影響を与えているかどうかを検討するために、大規模な調査を行いました。イスラエルでは、1955年から1982年までは全ての新生児にBCGワクチンの接種が義務化されていましたが、それ以降は結核の有病率が高い地域からの移民に接種対象を絞った経緯があります。研究グループは、定期接種中止前に生まれた人(1979~81年)と中止後の3年間に生まれた人(1983~85年)を対象に、SARS-CoV-2感染者の割合を比較することにしました。

今回の調査では、1979~81年生まれの3064人と、1983~85年生まれの2869人における7万2060回の検査結果を解析しています。解析の結果、検査した中でPCR陽性と判定されたのはBCG世代が361人(11.7%)と中止後世代299人(10.4%)であり、陽性率を人口10万人当たりに換算すると、BCG世代が121人、中止後世代が100人と有意な差は見られませんでした。
著者らは、これらの結果から小児期のBCG接種は新型コロナの感染率については影響を与えないと結論しています。ただ、BCG接種と新型コロナの重症化及び致死率の関係については、重症患者数が少ないため、今回の研究では判断することは出来ないと述べています。

この記事に関する論文は、オンライン科学雑誌「JAMA Network」(2020年5月付け)に掲載されています。

References:
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182